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イベントレポート
賃貸住宅オーナーのための相続&立ち退き対策セミナー開催
―不動産価値を最大化するために知っておきたい選択肢とは?―
2026年5月16日(土)に「賃貸住宅オーナーのための相続&立ち退き対策。家族信託・立ち退きセミナー」を開催しました。
たくさんの賃貸住宅オーナー様にご参加いただきました。
講師には、鳥飼総合法律事務所の弁護士・民事信託士である横地未央氏をお迎えし、賃貸住宅オーナー様が直面しやすい「立ち退き交渉」と「認知症・相続対策」について、具体的な事例を交えながら解説いただきました。
今回のテーマは、「不動産の価値を最大化するための対応策」。
大切な資産である不動産を、どのように守り、活用し、次世代へつないでいくのか。建て替えや大規模修繕、相続、認知症による管理リスクなど、賃貸経営に関わる幅広い課題について、参加者の皆様とともに考える機会となりました。
不動産の価値を最大化するために、考えておきたいこと
賃貸住宅経営において、建物の老朽化や入居者ニーズの変化、周辺エリアの再開発、地価の変動などは、将来の収益性に大きく関わる要素です。
「古くなった建物を建て替えたい」
「大規模修繕をして、収益性を高めたい」
「次世代へスムーズに賃貸経営を引き継ぎたい」
このようなお考えをお持ちのオーナー様も多いのではないでしょうか。一方で、不動産は「持っている」だけでなく、適切なタイミングで判断し、管理し、承継していくことが求められる資産です。特に賃貸住宅の場合、入居者様がいる状態での建て替えや用途変更には、立ち退き交渉が必要になるケースもあります。
また、所有者ご本人の判断能力が低下した場合、不動産の売却・修繕・建て替え・契約手続きなどが思うように進められなくなることもあります。
今回のセミナーでは、こうした将来のリスクに備えるために、まずは「どのような選択肢があるのかを知ること」の重要性が伝えられました。
建て替え・有効活用の前に知っておきたい「立ち退き交渉」のポイント
セミナーの前半では、賃貸住宅の建て替えや有効活用を進める際に避けて通れないことがある「立ち退き交渉」について解説が行われました。
建物が老朽化している場合でも、オーナー様の都合だけで直ちに入居者様へ退去を求められるわけではありません。借地借家法では、借主を保護する考え方があり、更新拒絶や解約申し入れには「正当事由」が必要とされています。正当事由は、たとえば次のような事情を総合的に見て判断されます。
オーナー様が建物を使用する必要性、これまでの賃貸借の経緯、建物の利用状況や老朽化の程度、そして立退料の提供などです。
ここで注意したいのは、「立退料を払えば必ず退去してもらえる」という単純なものではないことです。立退料はあくまで正当事由を補う要素のひとつであり、建物の状態、入居者様の事情、交渉に至る経緯などによって判断は変わります。
そのため、立ち退き交渉を検討する際には、早い段階から準備を進めることが大切です。セミナーでは、書面で通知を行うこと、半年から1年程度の期間を見込むこと、次回の契約更新時期を把握すること、近隣物件との賃料差額を確認することなど、実務上のポイントも紹介されました。
建て替えや土地活用は、法的な整理だけでなく、将来の収益性や事業計画も含めた総合的な判断が必要です。だからこそ、専門家と連携しながら、早めに方向性を検討しておくことが重要になります。
認知症対策と不動産管理について
※出典:内閣府「令和7年版 高齢社会白書」図1-2-2-5をもとに作成
セミナーの後半では、認知症対策と不動産管理の関係について説明が行われました。
内閣府「令和7年版 高齢社会白書」によると、令和4年における認知症の高齢者数は443.2万人、MCI(軽度認知障害)
の高齢者数は558.5万人と推計されています。また、令和22年には認知症の高齢者数が584.2万人、MCIの高齢者数が612.8万人になると推計されています。
厚生労働省の認知症施策推進基本計画でも、認知症とMCIの高齢者数の合計は1,000万人を超え、高齢者の約3.6人に1人が認知症またはその予備群とされています。
こうした状況の中で、不動産オーナー様にとって重要なのは、認知症と診断された後だけでなく、その前段階、いわゆる“グレーゾーン”の時期から、財産管理や意思決定に不安が生じる可能性があるという点です。
たとえば、賃貸住宅の修繕を行う、建て替えを検討する、入居者様との契約を見直す、金融機関とやりとりをする、保有している株式を運用する。こうした判断は、いずれもオーナー様ご本人の意思確認や判断能力が前提になります。
ところが、認知機能が低下してくると、これまで通りに財産を管理したり、積極的に活用したりすることが難しくなる場合があります。特に不動産や株式は、ただ保有していればよい資産ではありません。状況に応じて、修繕・売却・建て替え・運用・承継などの判断が必要になります。
また、相続対策の面でも、悩みはさまざまです。
「将来、誰にどの財産を渡すべきか決めきれない」
「賃貸住宅を共有にすると、子どもたちの間で意見が分かれそう」
「特定の相続人に不動産そのものを承継させることに不安がある」
「信頼できる家族に、少しずつ管理を任せていきたい」
こうした思いがあっても、対策をしないまま相続が発生すると、不動産が相続人の共有になることがあります。共有状態になると、売却や大規模修繕、建て替えなどの意思決定に時間がかかり、不動産の有効活用が進めにくくなる可能性があります。
つまり、認知症対策や相続対策は、単に「財産を残す」ためだけのものではありません。大切な不動産を、将来も適切に管理し、活用し、次世代へつないでいくための準備でもあるのです。
「家族信託という選択肢」信頼できる家族に管理を託す仕組み
こうした課題への選択肢のひとつとして、今回のセミナーでは「家族信託」、法律上は民事信託と呼ばれる仕組みが紹介されました。
信託とは、財産を持つ人が、信頼できる人に財産の管理や処分を任せる仕組みです。基本的には、財産を託す「委託者」、財産を管理する「受託者」、利益を受け取る「受益者」という関係で構成されます。セミナーでは、信託には財産管理と財産承継の両方の機能があり、最終的な財産の承継先を決めることもできると説明されました。
たとえば、賃貸住宅を所有する親が委託者兼受益者となり、子どもを受託者に設定することで、親の判断能力が低下した場合でも、子どもが契約に基づいて不動産の管理や修繕、活用を進められるように設計できます。
これは、財産をすぐにすべて渡してしまう生前贈与とは異なります。所有者ご本人が利益を受け取りながら、信頼できる家族に管理を任せることができる点が特徴です。
また、家族信託では、将来の承継先についてもあらかじめ設計することができます。たとえば、まずは配偶者の生活を支え、その後、子ども世代へ財産を承継する、といった形です。収益不動産を所有している方にとっては、賃料収入をどのように確保し、誰が管理し、最終的に誰へ引き継ぐのかを考えるうえで、有効な選択肢になる場合があります。
ただし、家族信託は万能な制度ではありません。基本的に節税を目的とするものではなく、登記や契約書作成、金融機関との事前調整なども必要になります。また、遺留分への配慮や、受託者が適切に財産を管理できるようにするための契約内容の設計も重要です。
そのため大切なのは、「信託を使えばすべて解決する」と考えることではなく、ご家族の状況や資産内容、将来の希望に合わせて、遺言書、生前贈与、成年後見制度なども含めて比較検討することです。
不動産の管理や相続について、少しでも不安がある場合は、早めに選択肢を知っておくことが重要です。信託という仕組みを知ることは、大切な資産を守り、将来の不動産活用の可能性を広げる第一歩になるのではないでしょうか。
実際の不動産活用をご覧ください。
不動産の価値を守り、次世代へつなぐためには、建物そのものの維持管理だけでなく、法務・税務・相続・承継・土地活用を含めた総合的な視点が欠かせません。
特に、立ち退き交渉や家族信託は、問題が起きてから急いで対応しようとしても、すぐに解決できるとは限りません。立ち退きには時間を見込んだ準備が必要であり、信託もご本人の判断能力があるうちに設計しておくことが前提となります。
「まだ先のこと」と思っている今こそ、将来の選択肢を広げるための準備を始めるタイミングです。
積水ハウス名古屋西シャーメゾン支店では、賃貸住宅の建て替え、有効活用、収益性の見直し、相続・承継に関するご相談を承っております。ご所有の不動産をどのように守り、活かし、次世代へつないでいくか。お客様一人ひとりの状況に合わせて、専門家とも連携しながらサポートいたします。
賃貸住宅経営や相続対策について気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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