シャーウッドclub特別号 presented by dancyu 家飲みワインの大いなる愉しみ方 個性豊かな日本のワイナリーをめぐる

第1回
海沿いのワイナリー
カーブドッチ(新潟)

木の梁が印象的なセラーで、熟成を待つ、樽詰めされたワインたち。
新潟県の「カーブドッチワイナリー」は、新潟市の中心から西へ約20km進んだ、角田山の麓、海からわずか1kmの場所に位置する「海沿いのワイナリー」。その土地ならではの特性を生かしたワインづくりにこだわり、高い評価を得ています。同時に、レストランや宿泊施設も併設され、さまざまにその場所を楽しめることも魅力。そんな「カーブドッチワイナリー」の物語を、おすすめレシピとともにご紹介します。

「海沿いの土地でしか表現できない唯一無二のワインをつくりたい」

近年、ますます品質が向上してきている日本ワイン。そのなかでも「カーブドッチワイナリー」でつくるワインは、ぶどうのおいしさはぎゅっと詰まっているけれども、軽やかですっきりとした風味が特徴です。やさしい味わいなので飲み疲れることもなく、お家でたのしむデイリーワインにもおすすめ。クセがあまりなく、どんな方でも親しみやすい味なので、ホームパーティーでもお客様に喜ばれます。
1992年の創業以来、「カーブドッチワイナリー」がもっとも力を注いできたのは、海沿いの土地の個性を表すワインをつくることでした。「この地域の気候、風土の特徴は、砂地であることと、風に恵まれていること。農作物は、香りが華やかで繊細な味わいに育ちます」と、栽培・醸造責任者の掛川史人さん。40種類以上の品種を植えてやっと見つけたのが、スペイン原産のアルバリーニョという白ワインの品種でした。アルバリーニョの特徴は、柑橘系のすっきりとした酸とさわやかな飲み心地。「たとえば長野もワイン造りが盛んで、世界からも注目される産地になりつつあります。ところが、長野でアルバリーニョを栽培しても、酸が出過ぎて、とても酸っぱい白ワインに仕上がってしまうでしょう。それは、長野は標高が高くて、昼夜の寒暖の差が大きいから。『カーブドッチワイナリー』が位置する角田浜は冬も積雪がほとんどなく、寒暖の差も少ないので、アルバリーニョの味わいが穏やかに育つ。これが、私が考えている『風土を表した唯一のワイン』です」。

栽培・醸造責任者の掛川史人さん。「カーブドッチワイナリー」で醸造を始めたのは2006年。

「カーブドッチワイナリー」の土地の最大の特徴は、土ではなく砂地であること。水はけが非常にいい代わりに栄養分は乏しいため、栽培するぶどうには余計な味わいや風味が混じることがなく、繊細で華やかな香りを表現しやすくなる。

畑には醸造所が併設されている。写真は、最近注目されているオレンジワイン用の白ぶどうを発酵しているところ。さわやかな味わいのあるアルバリーニョとは対照的に、濃厚で、果実味の豊かな味わいが特徴。

天井まで届きそうなほど、高くそびえ立つ発酵熟成タンク。タンクの中で自然に発酵が進み、ぶどうの糖分がアルコールに変化していく。温度は13℃くらい。香りが飛ばないように、低い温度に設定している。

ワインの味わいには醸造家の人となりがそのまま表れる、と掛川さんは話します。「ワインは日本酒に比べると醸造させるのがとても簡単。人の手をほとんど加えないでも発酵して、勝手にできあがってくれる。ただし、どの程度、ぶどうを発酵させるか、どのくらい樽のなかでワインの液体をねかせるかは、醸造家の裁量に任されている。工程がシンプルな分、そうした判断のひとつひとつが大きくて、醸造家の好みであったり、人柄がワインに投影されていくんです。あと、これは僕自身の考えですが、やはりぶどうの栽培から醸造まで長い時間を一緒に過ごしますから、不思議と、醸造家の人柄のなにかがワインにも表れるような気がしています。たとえば、僕がつくるワインはかろやかでとっつきがいい味わいだと自分で思っていますが、それは僕自身の性格そのもの(笑)」。
ワインとは、醸造家の個性がダイレクトに表れるもの。だからこそ、家で飲むワインは、醸造家で選んでみるのもひとつの方法、と、掛川さんと言う。「知り合いに、思慮深くて寡黙な醸造家さんがいますが、その人のつくるワインには重厚感があるんです。もし、好みの醸造家さんが見つかったら、その人が作るワインのほとんどは自分好みの味と考えても間違いないでしょう」。

「味も香りも、テンションの高いワインを作りたい。だから、ワインを作るときの僕自身のテンションも上げるために、おいしいワインを飲んでモチベーションをあげたり音楽を聞いたりしています」

アルバリーニョ100%の白ワイン「ALBARINO 2017」は、よく冷やすと、キリッとした酸と、ほんのりとしたはちみつのような甘さが引き立つ。淡く澄んだ色が美しい。

敷地内には、本格フレンチを提供するガーデンレストランを併設しています。ぶどうが育ち、ワインがつくられたのと同じ土地で、おいしい料理とのマリアージュを堪能できるのが「カーブドッチワイナリー」の醍醐味。地域の野菜や旬の食材を使った季節ごとの料理に合わせて、ソムリエが「カーブドッチワイナリー」のワインをセレクトしてくれます。アルコールを飲まない方は、ぶどうを使ったノンアルコールの飲み物とのペアリングを提案してくれるので、どんな方でも楽しめるのが魅力です。

ぶどう畑や醸造所に併設されたガーデンレストラン。おいしい料理とともにカーブドッチのワインを味わえる。窓際の席では、ぶどう畑と角田山を一望できるのも魅力。

「カーブドッチワイナリー」の中央に構えるガーデンレストラン。店内の柱は古木を利用し、趣のある内装にしている。

写真は秋のランチメニューの「白身魚と海老のパイ包み ベルモットソース」。コース料理のほか、アラカルトメニューもある。

今回の家飲みワイン

サブルとはフランス語で『砂』の意味。「カーブドッチワイナリー」の最大の特徴である砂質土壌が、名前の由来です。アルバリーニョ・リースリング・セミヨンの3品種のセパージュ(ブレンド)したもの。ベースのアルバリーニョには、ピンクグレープフルーツのような華やかな香りと果実味があります。さらに、セミヨンのはちみつのような風味、リースリングの持つすっきりとした酸が合わさった、洗練された味わいが特徴。ハレの日など、特別なシチュエーションや、ちょっと贅沢をしたい日に是非飲んでいただきたい白ワインです。

「海沿いの土地でしか表現できない唯一無二のワインをつくりたい」

今回は、佐藤龍シェフに、自宅でも愉しめる白ワイン「SABLE」と「真鯛のマリネと洋梨、お豆腐のクリーム」のマリアージュを紹介していただきました。「ちょっとしたお祝いや、贅沢をしたい日など、ハレの日におすすめのワインと、手軽に作れるおいしいお料理です」(佐藤シェフ)。

真鯛のマリネと洋なし、お豆腐のクリーム

材料(3〜4人分)

・真鯛(刺身用、白身魚であれば鯛以外も可)…100g
・めかぶ…2パック
・グレープフルーツ…1/4個
・エクストラバージンオリーブオイル…少々
・ハーブ(ディルやセルフィーユなど、入手しやすいもの)…少々
・洋なし(びわや桃など、季節によってアレンジも可)…1個
・豆腐(綿)…100g ※ザルで水気をきっておく
・生クリーム…20g
・塩…少々

つくり方

1. グレープフルーツは房どりして手でほぐし、水気をきっためかぶ、オリーブオイルとまぜる。
2. 真鯛をさいの目の大きさにカットして塩ひとつまみをふりかけ、1とまぜる。
3. ボールに豆腐を入れてホイッパーでよくかき回した後、立てた生クリームと混ぜ合わせ、塩で味を整える。
4. 洋なしは、皮をむいて一口大にカットしたあと、器に盛りつける。上から3を流したあとに、2を乗せてハーブを飾り付けたら完成。

アルバリーニョの持つ柑橘のような爽やかな香りが、料理の中に散らしたグレープフルーツと好相性、と佐藤シェフは教えてくれました。「さらに、海沿いの地でつくっているワインにはミネラル感もあるので、めかぶを合わせました。洋食には意外な食材に見えるお豆腐は、クリーミーでまるみのある味わいなので、ワインとマリアージュしたときに全体を包み込むように、バランスを整えてくれます」。

家族や友人とのホームパーティーに。クリアビューデザインのリビング空間に流れるゆるやかな時間もおもてなしのひとつ。(シャーウッドハウジングモール倉敷展示場)

めかぶや豆腐など和食材を使ったおつまみなので、お正月など和のあしらいにもおすすめ。同じ住まいでもいろいろなシチュエーションで楽しめます。

味わいとともに、造られた土地に思いを巡らせるのも、ワインの愉しみ方のひとつ。1日の終わりに、もしくは休日にくつろいでいるときに。自宅でカーブドッチのワインを飲みながら、海沿いの広大な土地に思いを馳せる豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

もっとワイン上手になる。

カーブドッチは、ぶどう畑や醸造所、スパも楽しめる宿泊施設「VINESPA」が揃う観光ワイナリー。さらに、施設内の「カーブドッチホール」では結婚式を挙げることができ、記念にアニバーサリーワインをセラーで保管してくれるサービスもついています。 また、観光客がくつろぎながら滞在できるよう、建築にもこだわっています。セラーは、ドイツ製の鉄格子を使ったお洒落なデザイン。数種類のクラフトビールと自家製のハム・ソーセージを堪能できるカジュアルレストラン「薪小屋」は、ドイツ人建築家カール・ベンクス氏による、新潟の古民家とドイツの建築を融合させた木造建築です。 こだわりぬかれた素敵な建物から、角田山の自然豊かな風景を眺める。上質な空間は、ワインの味わいや香りをさらにすばらしく感じさせてくれます。
→ワイナリーについて詳しくは「dancyu」へ

ワイン倉庫
「薪小屋」内観
「VINESPA」内の温泉

ご協力いただいたワイナリー

「カーブドッチワイナリー」

新潟県新潟市西蒲区角田浜1661

記事でご紹介した「カーブドッチワイナリー」の宿泊ご予約、ワインの購入はこちらから。

文=吉田彩乃 写真=三木匡宏