プライバシーを守り、 内に開放感を創出した住まい
プライバシーをしっかり守りつつ、
家族と過ごす時間や、お客様をもてなす時間を
特別なものとするために。
堅牢な外壁に守られた内側に、中庭のある、
開放感に満ちた気持ちのいい住まいを計画しました。
敷地の東南角にガレージ棟を配し、
車の出入り口が表に出ないよう位置を計算。
道路側からは重厚感のある外壁が立ち上がって見えるようにし、
外からの視線を遮る役割も持たせました。
この外壁は既存の石積みとも調和し、新たな街の風景にもなっています。
外に対しては閉じ、その内では光や風を存分に感じる、
籠もれるような安心感と心地よい開放感を両立した住まいとしました。
外観の印象からは想像できないような伸びやかな住空間を内側に実現。プライバシーを保ちながら、光と風、そして開放感を存分に味わえます。
リビングダイニングの天井とデッキの軒裏には
ウェスタンレッドシダーを貼り、外と内の一体感を表現。
開放的な空間を、さらに気持ちよいものとしています。
また床材にウォールナットを採用するなど、インテリアの素材にもこだわり、
木や石を効果的に配することで、上質な空間に仕上げています。
アイアンのシースルーの階段やモダンな和室など、
全体をナチュラルでシックな色でまとめ、
リビングやダイニングから見えるオーナー自慢の愛車の「赤」や
階段下に飾られたレコードジャケットの色彩が差し色となるよう配慮。
インテリアに表情をもたらしました。
天井部分とデッキの軒裏部分にはウエスタンレッドシダー、床にはウォールナットを採用。木のぬくもりと肌触りが存分に感じられます。
階段の踏み板もシックな色合いを選択。その階段回りは造作したDJブースとグランドピアノを配し、おしゃれな音楽サロンのように演出。
和室は障子によって緩やかにリビングとつながり、使い勝手のよい空間に。紙や木の自然素材をインテリアに調和させ、モダンな印象としています。
何かと忙しいオーナーご夫妻。
日常を気持ちよく過ごしたり、
不意の来客でも安心して迎え入れられるよう、
家族みんなで寛いだり、お客様をもてなすパブリックな空間と、
寝室や子供部屋、そして家事を行う空間を、1階と2階に振り分けました。
1階は中庭を囲むようにガレージとL字のリビングダイニングをプラン。
空間は階段で緩やかに仕切るなど、壁を極力少なくし、
住まいの隅々で戸外の爽やかさを存分に感じられるようにしています。
2階に設けた家事スペースは、
水回りとウォークインクローゼットの関係性を考慮して、
洗って干して仕舞うまでの動線をスムーズに。
室内に洗濯物を干すスペースも確保し、
外出時の雨などにストレスを感じないよう配慮しています。
中庭からの光を感じながら、ゆったりと過ごせるリビング。テレビボードの背後の壁は石張りとし、上質な質感をもたらしました。
ダイニングは朝日を感じながら朝食を楽しめるように。中庭越しにガレージに格納された愛車を眺めることができます。
シースルーの階段はトップライトの吹き抜けとすることで、明るく、2階の気配を感じることもできます。また、階段でリビングを緩やかに仕切ることで、空間を分けつつも、そこで別のことをしている家族とも繋がっている感覚になります。
2階の水回りは、洗う、干す、仕舞う、の一連の作業がスムーズに進むように設計。
水回りは白を基調にタイルを施して、明るく居心地の良い空間になっています。
人通りの多い駅からの坂道を登ったところにある敷地。
シンプルなキューブ型の外観ながら、
外壁材のベルバーン、タイル、RC等の素材と組み合わせ、
上質で存在感があり、そして変化のあるフォルムとしています。
既存の石積み擁壁とも調和させ、季節ごとに植栽の緑が彩るように。
この住まいがオーナーだけではなく、
街の財産としての価値ももたらすことを目指しました。
ベルバーンの外壁に、植栽の緑も映えている外観。石垣を洗浄して生まれ変わらせ、昔から街並みの景観も継承しつつ、経年美化していく外観を目指しました。
10年以上前に購入し、オリジナルの色に塗り替えるなど、
手を入れながら、大切にしてきたオーナーの愛車、
1969年製の通称“ナローポルシェ”
ガレージに中庭側に開いた窓を設けることで、
リビングやダイニングからガレージに格納された
自慢の愛車を眺められるようにしています。
その愛車を眺めながらお酒を楽しむこともでき、
日常を忘れられる、特別な時間が流れる空間を創出しました。
室内、中庭ともに照明計画を綿密に行い、夜も非日常的な特別な時間を過ごせることを目指しました。
リビングのソファでくつろぎながら、愛車を眺めることができます。
ガレージには、ご主人こだわりの「オリジナルの赤」を再現したナローポルシェを。
当初より明確なご要望をお持ちで、それを受けて設計のコンセプトを立てたところ、ほぼお任せいただきました。この地域は法規制が厳しいのですが、法規的なところは工夫し、余すところなく敷地を全て使い切れたと思います。そうした制限を、いかに不自然に見えないようするのか、というのがプロとしての設計の腕の見せ所だと考えています。
家族構成/夫婦+子供4人
所在地/兵庫県
敷地面積/385.74㎡
延床面積/337.70㎡
取材年月/2019年11月