雨端と石垣のある家 02
雨端と石垣のある家 01
雨端と石垣のある家 03
雨端と石垣のある家 04
雨端と石垣のある家 05

雨端と石垣のある家 山口県

八重山の空気が流れる
光と風に満ちた平屋の家

CONCEPT

雨端(アマハジ)と呼ばれる深い庇や、
石垣島特有の石垣(グック)が特徴的な佇まい、
外に開かれた気持ちのいい室内空間…。
そんな以前に旅した沖縄県の八重山諸島で見た住まいのかたちに
感銘を受けたオーナーご夫妻は、
新居にそのスタイルを取り入れて、
開放的で自然とつながる平屋の家を希望されました。
そこで南に大きな開口を設け、畳のリビングを配置。
さらにウッドデッキを室内側に取り込み、木や土、石などの素材にもこだわって、
より自然との距離を身近なものにしました。
室内はダイニングを中心とした構成で、
自然に近く、家族の距離感も近い、
平屋であることを存分に生かした住まいとしています。

CONCEPT 雨端と石垣のある家 01

リビングやウッドデッキとは一段低くなったダイニングとキッチン。視線が合うとともに、南の開口部より低くなることで、外との距離を感じ、木のインテリアに包み込まれる安心感が生まれます。

PLAN

LDKはキッチンとダイニングを中心に配置。
その南側にはリビンク、ウッドデッキ、そして書斎、
東側には主寝室と洗面室や浴室等の水まわり、
西側には子供部屋を設けて、各室をスムーズな動線でつなぎ、
どこにいても家族の気配が感じられる一体感のある空間としました。
リビングは畳にしたいというオーナーの要望を受け、
同じく南側にあるウッドデッキや書斎ともに35㎝高く設定。
座っていながらもダイニングやキッチンとの目線が近くなるよう配慮しています。

PLAN 雨端と石垣のある家 01

ウッドデッキは杉材を採用。天井を介してリビングや書斎と緩やかにつながり、深い軒に守られた「家の中の外」という趣です。

MATERIAL

家の中にいても、自然を存分に感じていたい、というオーナー。
木の家であることを全身で楽しむために、
まず床は、無垢のオーク材に。
建具やダイニングテーブル、カップボードなどの造り付けの家具も、
オーク材で統一しました。
開口部には障子を採用。和紙が持つ柔らかな光が室内を優しく包みます。
また内壁と天井は珪藻土の塗りに。
調湿性に優れた自然素材で家族の健康を考えるとともに、
外壁も同じ塗りにして、内と外との連続性を持たせています。

MATERIAL 雨端と石垣のある家 01

木製の引き戸を開けると、たちまち清々しい木の香りに包まれる玄関ホール。南の小窓には障子が施され、柔らかな光が差し込みます。

MATERIAL 雨端と石垣のある家 02

洗面室も木製のカウンターで、温かみのある印象に。窓から覗く緑も、爽やかな自然の中にいることを感じさせます。

FACADE

外観は八重山の集落のイメージを踏襲して屋根を2.5寸の寄棟としました。
沖縄の民家では、深い庇の出た部分を雨端(アマハジ)と言いますが、
その雨端を連想させる長い軒とアルコープを提案。
心地よい日陰を作り出し、雨を遮り、大屋根の安心感をもたらしています。
さらに八重山諸島竹富島の石垣(グック)を連想させる
地元産の石を採用した石垣を設置。
高さは下の道路を歩く人がかすかに見えるかどうか、
また長さも調節して植栽のスペースを確保することで圧迫感を抑え、
近隣とのつながりも保っています。

FACADE 雨端と石垣のある家 01

玄関へは石垣の間を縫うようなアプローチを通って。庭には芝が敷かれ、ご夫婦が自ら選ばれたイロハモミジやサルスベリ、ヤマツツジなどが植えられています。

SPECIAL

オーナーがこだわられたのが畳のリビング。
座ることで庭の土や植栽とも近くなり、
より自然を身近に感じることのできる場所となっています。
障子を閉めれば、ダイニングやキッチンとは
緩やかに隔てられた落ち着いた空間。
南国の趣のある琉球い草の縁なし畳を採用。
周囲にはフローリングを施し、隣室の書斎とのつながりを持たせました。
丸いテーブルを造作し、冬はこたつに。
食事やお茶の時間、読書や午睡にも。
様々な時に、様々な使い方ができる、気持ちのいい場所となっています。

SPECIAL 雨端と石垣のある家 01

一段高くなっているスペースは、その分、天井が低くなり、落ち着いた空間の印象に。段差部分は腰掛けるにもちょうどいい高さで、ベンチとしても利用できます。パーティーで30人ほど集まられた時も、椅子が少なく心配されたそうですが、このスペースが活躍したそうです。

SPECIAL 雨端と石垣のある家 02

リビングの横にはフローリングで緩やかにつながった書斎が。籠り感を出すためダイニングやキッチンと高さを合わせ、リビングよりは一段低くしています。さらにカーペット敷きにし、天井も低くしてオーク材を貼り、空間に包み込まれる心地よさを創出しています。

担当アーキテクト

雨端と石垣のある家 担当アーキテクト

ロケーションは、南側が畑で見通しが良いので、その特性を存分に生かすように考えました。家の中は床や天井の高さを操作して、緩やかに空間を仕切るとともに、開放感や包まれる感覚を使い分けています。また開口部の形や位置を計算し、額縁のように自然を切り取ることで、外からの視線をきにすることなく景色を楽しめるようにしました。ゆったりとした時間に身を委ねられるよう、自然素材にもこだわっています。

物件データ

雨端と石垣のある家 物件データ

家族構成/夫婦+子供1人
所在地/山口県

敷地面積/359.05㎡
延床面積/99.25㎡
取材年月/2019年5月

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