空間の関係性を吟味した
人が集い、家族が語らう心地よい家
企業の代表であるオーナー。
商談や会議などで人を招く機会が多いため、
新居は多くの人が集まることができ、手厚くもてなせる場であることをご要望。
また、熱心に野球に取り組むご長男と、
キャッチボールのできる広い庭もご希望されました。
広い敷地でしたが、必要な空間ボリュームを考えると余裕は多くありません。
そこで空間を5つの“箱”ととらえて、
南北にずらしながら、どこを繋げ、どこを開くか、
関係性を重視しながら、内外に展開する空間構成を考慮しました。
上手に“箱”を積層させることで、快適でスムーズに繋がる、
開放感に溢れた住まいを実現しています。
南側に東西に広くとった芝生の庭を設け、テラスを通して気持ちよく内と外がつながったO邸。キャッチボールができる十分な広さの庭を確保すると同時に、5つの“箱”をずらしながら、敷地を存分に活かし、快適な空間構成を実現しています。
南側の、広く伸びやかな芝生の庭を前面にしてテラスをプラン。
その周りを囲むようにして、
「リビング」「ダイニングキッチン」「和室」の3つの“箱”をコの字に配置しました。
テラスは深い軒に守られた半戸外空間で、
室内の各空間と庭をスムーズにつなぐ役割を持たせています。
南側の広い庭は、「ガレージ」の“箱”で、
通りからの視線が遮られるようにし、プライバシーを確保。
「玄関ホール」も“箱”として確立し、北側に、もう1つの小さな庭を設けることで、
室内の随所から緑が眺められるように配慮しました。
この家に暮らすご家族や、訪れるお客様が楽しめる工夫を施しています。
キッチン→ダイニング→テラス→庭とスムーズにつながった動線。オーナーご一家は、ガーデンパーティーをよく開かれるとのこと。多くの人が集まっても、とてもスムーズに料理や飲み物を作ったり出したりができると好評です。
シンボルツリーのアオダモが木陰を落とす気持ちのいいテラス。通りからの視線を遮る西側ガレージの壁は、池とその周辺の植栽の背景となり、ガレージ上のバルコニーへの階段もアクセントとなっています。
北側に設けた小さな庭は、優しい光を取り入れるとともに、自然の息吹を室内にもたらし、室内を移動する際にも目を楽しませてくれます。
リビングは心地よい居場所にするため、
一段低くしてカーペット敷きに。
オーナーのご両親が訪れた際も、ゆったりとくつろげると好評です。
上部を吹き抜けとし、南側には2階の渡り廊下を設定。
明るい光とともに上階の気配が1階に落ちてきます。
リビングとキッチンはストレートにつなぎ、
空間を緩やかに仕切る机を設置。
ここはお子様の勉強スペースにもなっています。
壁を作ることなく空間を分ける工夫を施し、
開放感とスムーズな動線、そして家族の繋がりを、
同時に感じられる空間です。
吹き抜けが気持ちのいいリビング。床を一段低くすることで、包まれるような安心感も味わえます。南側に加えて、北面コーナー側にも窓があるため、開放感あふれる印象。テレビの背後の石張りの壁が、高級感をもたらしています。
キッチンは多くの人をもてなすための料理をするほか、経営する店のメニュー開発も行われるため、広く、使いやすくプラン。右側の壁の背後はパントリーとなっており、多くの調味料などを整理して保管できるようにしています。
外観も、5つの“箱”による構成を活かしています。
その際、街並みに圧迫感を与えないように、
手前の箱を低くし、
奥に行くに従ってボリュームの大きな箱が来るよう配置しています。
ガレージの箱で庭への視線は遮っていますが、
街に対して完全に閉じた家にはしたくないという、オーナーのご希望を受け、
箱と箱の隙間や、門扉に採用した透かしたアイアンから、
家族の暮らしの気配が街にも感じられるようにしています。
透け感のある門扉や植栽により、訪れた人が誘い込まれるようなアプローチとしています。
敷地北西角の塀は、木目模様を施したコンクリートの外壁をご提案。味わいのあるテクスチャーを施すことで、雰囲気のある街並みの一角を創出しています。
何よりも訪れるお客様をもてなす家であることを望まれたオーナー。
玄関ホールは、大きな一つの箱として広い空間に。
フィックス窓を設けて、明るい光と北の庭の緑によって、
訪れた人を迎えます。
商談や会議もできる場所として、
玄関ホール横に大きな掘りごたつのある和室をプラン。
座る人数に柔軟に対応できるようにしています。
また和室のすぐ前面の庭には、鯉のいる池を設けました。
縁側に腰掛けてゆったりと餌をやることができます。
北側の窓から優しい光と緑影がもたらされる玄関ホール。最初にお客様を迎える場所として贅沢な広さを取り、白を基調とした素材で高級感のある空間としました。
和室は周囲に亀甲柄を施した床材で広縁と縁側を巡らせ、和の落ち着いた趣を創出。庭とは2面で接する構成で、伝統的な日本家屋のような開放感を創出しています。南側の縁側の先には池があり、訪れた人の目を楽しませます。
池には鯉が放たれ、華やかな色合いで元気に泳ぐ様子が、目を楽しませてくれます。池の周囲の植栽や石は、オーナーがお父様と一緒に配置を考えられました。
設計にあたっては、まずその敷地をよく知り、そこにしか建たない家をつくることを心がけています。その上で、欲しい空間のボリュームを把握し、それぞれの関係性を吟味して、どう空間構成をしていくかを考えながら、その中に家族が落ち着ける様々な居場所をつくっていきます。ご家族のライフスタイルや人生にも踏み込んで、お客様が想像される以上の、ドラマティックな住まいのご提案を目指しています。
家族構成/夫婦+子供2人+ペット
所在地/大阪府
敷地面積/856.16㎡
延床面積/459.84㎡
取材年月/2018年6月