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住まいのエキスパートコラム
住まいづくりのエキスパートコラム  様々な分野で活躍する「住まいのエキスパート」たちが、 住まいづくりにまつわる様々な情報をお届けします。
vol.2『こだわりの書斎で本を楽しむ』中村義平二
「読書の秋」という言葉もだんだん現実感がなくなってきました。

出版社の調査によっても、ここ十年くらいで読書量の低減はいちじるしく、インターネットや携帯サイトを巡回することで時間が費やされ、鮮度の低い印刷情報は省みられなくなっています。


住まいの中でも読書や思索を巡らす書斎という空間をあえて用意しようという方も少なくなってきました。リビングの一隅にパソコンを置いたネットコーナーがあれば、それで良しとされるかたが多くなっています。

以前ですと、少しでも余裕がある場合のご主人が望む部屋の第二位が書斎でした(ちなみに第一位は「広い浴室」です)。現在では「広い浴室」は当たり前になっていますので、当然第一位が書斎になるはずですが、そのようなご要望を聞くことはほとんどありません。

では、書斎なる空間は必要ないのかというと、建築家としては肯定しかねます。住まいは機能だけが充足されれば良いというものではなく、心を寄せられる書斎のような空間が必要だと思うからです。

しかし、限られた面積の中から書斎空間を捻出するのは容易ではありません。そこで、良く提案するのが空間のハイブリット化です。 寝室の一部に書斎コーナーを設ければ、就寝前のひととき、心豊かな時間をすごせます(写真1)。
また、階段の踊り場を拡張して書斎化する方法もあります(写真2)。

この「踊り場書斎」は家族が常に通過する場所にあるので、ホームライブラリー的な性格をおびてきます。親がどんな本を読んでいるのか、何に関心があるのかということを子供が知ることもできますし、そこから新たな家族の話題が生まれることもあります。 ロフトや小屋裏を利用した多目的書斎も楽しいものです(写真3)。

他の部屋とは異なる、大きく傾斜した天井はそれだけでも心を浮き立たせてくれます。ここは書斎と言っても、家族全員が利用するアトリエのような場所です。奥様の家事室であり、子供たちの工作室であり、ご主人の書斎です。
そして、面積がない場合の究極の書斎はソファ一つだけの書斎です(写真4)。

これは窓際に置いたご主人専用のソファです。ソファ脇の小さな書庫には読みかけの本や書類が収納され、ごろりと横になって本に読みふけったり、無線LANに接続したノートPCでブラウジングしたり、書類をチェックします。そして疲れると空ゆく雲をぼんやりと眺めたり・・・。書斎とは部屋ではなく、まさにユビキタス(どこにでもある)なものと考えてはいかがでしょうか。

中村義平二(建築家)
株式会社空間構造代表取締役
雑誌や新聞への執筆のほか、各種セミナーの企画、講師なども務める。おもな著書に『家づくりの基礎知識 これ1冊ですべてがわかる!』(建築資料研究社)、『プレハブ住宅の選び方』(住宅新報社)、『住まいづくり上級コース入門』(住宅新報社)ほか。
株式会社空間構造
 
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