住まい学大系102 
住まい学大系102巻『中廊下の住宅 明治大正昭和の暮らしを間取りに読む』
青木正夫・岡俊江・鈴木義弘=著
定価本体2,400円+税
仕様:小B6判 本文268頁+栞28頁 上製本ジャケット付き
発行:住まいの図書館出版局
発売:株式会社ラトルズ    

建築家と生活者の130年にわたる住宅論議がライブで迫る
 建築を読み解く本として定評のある叢書「住まい学大系」の第二期第二弾です。
 住まいの形(間取り)はどのようにつくられるのでしょうか? 中流住宅によく見られる「中廊下型住宅」は、とかく設計者に敬遠されがちな間取りですが、この本ではその中廊下型住宅に注目して、明治・大正・昭和という時代の流れの中で、どのように論議され、どのように変化していったのか、建築専門誌から婦人雑誌まで文献をあたって調査研究しています。
 設計者からの提案や生活者から見た暮らしの現実、さらに歴史がどのように動いていくのかがわかります、この独自の史的考察を続けたのが、戦後、建築計画の理論的確立に力を尽くした青木正夫です。
 青木は2007年に急逝しましたが、その遺志を継いだ岡俊江、鈴木義弘によって本としてまとめられました。栞では、その二人と、青木の後輩である鈴木成文による座談会を掲載。建築計画という学問の一端や、中廊下型住宅を通して青木が言いたかったことが伝わってきます。

〈目次〉
  • 第一章 日本住宅近代化の端緒
  • 第二章 中廊下型住宅の生成
  • 第三章 中廊下型住宅批判
  • 第四章 西洋住宅の模倣
  • 第五章 折衷式住宅の発展
  • 第六章 停滞の時代
  • 第七章 戦後の住様式論
  • 事項解説1〜5
  • 文献年表
  • 論文再録
  • 座談会再録

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装幀/山口信博 


青木正夫(あおき・まさお)
1924(大正13)年、山口県生まれ。旧制廣島高等学校を経て、東京大学第一工学部建築学科を卒業。卒業設計では辰野金吾賞を受賞した。同大学院特別研究生前後期を満期退学するまで、吉武研究室における「理論的主柱」として建築計画学確立に尽力する。1953(昭和28)年東北大学に赴任。1956(昭和31)年に九州大学に助教授として着任して以降、福岡を拠点として活動を始めることとなった。
 この間、住宅・集合住宅を始め農村集落・学校・病院・図書館・保育所・障害者施設など、あらゆる領域の建築計画学の萌芽期から発展段階までの研究に関与し、1966年度日本建築学会賞(論文)を受賞した「小中学校の建築計画的研究」では、「史的考察」の重要性を著し、これが本書にも引き継がれている。その一方で、設計活動にも深く関わり、特に民間設計組織の技術力が未成熟の時期に、学校建築や病院建築などの領域において、研究と設計を一体化させた立場で社会に貢献。1966(昭和41)年にメイ建築研究所を創設した。日本建築学会でも数多くの要職を歴任し、1983(昭和58)年から四年間は農村計画委員会委員長も務めた。また、1987(昭和62)年に西安冶金建築学院(のちに西安建築科技大学)客員教授に終身で就任し、中国への建築計画学の普及や四合院住宅・集落の研究にも精力を注いだ。
 昭和の終わりと共に九州大学を定年退官し、引き続き九州産業大学で十年間教鞭を執る。このような幅広い活動に魅力的な人柄が加わり、いわば「青木スクール」は数多くの学生・留学生のみならず多くの人たちを引きつける場となった。これらの実績から、2007(平成19)年に「建築計画学の理論的体系化と東アジア地域の学術交流の発展に尽くした功績」として日本建築学会大賞を受賞した。
 著書は『建築学大系32 学校・体育施設』(彰国社/1957年)、『建築計画学8 学校1』(丸善/1967年)、『党家村〜中国北方の伝統的農村集落』(世界図書出版公司/1992年)など。2007(平成19)年8月7日に83歳で永眠した。

岡俊江(おか・としえ)
九州女子大学家政学部教授・工学博士。専門は、建築計画学および住居学。九州大学大学院後期博士課程において青木研究室に在籍した。1988(昭和63)年に「現代の中流住宅の平面構成に関する研究」で学位を取得。現在は、マンション管理やその高齢化対策、住教育やその情報発信に関する問題にも取り組んでいる。
 著書は『住まいの事典「マンション管理に関する法律」』(共著/朝倉書店/2004年)、『地域の住まい学習「マンション居住に関する住まい学習」』(共著/ドメス出版/2007年)、『マンション学事典「マンションと高齢化」』(共著/民事法研究会)ほか。

鈴木義弘(すずき・よしひろ)
大分大学工学部准教授・博士(人間環境学)・一級建築士。九州大学工学部建築学科卒業、同大学院修士課程修了。1984(昭和59)年に日本電信電話公社建築局に入社後、1992(平成4)年から大分大学に在職。学位論文「知的障害者の住生活環境と福祉就労施設に関する研究」(1999年)を始めとして、障害者や高齢者の福祉的住環境水準向上のための研究と共に、独立住宅の変容過程に関する研究にも携わっている。また、1990年代前半には、青木正夫の中国四合院住宅や農村集落研究などに同行し、共同研究を行った。
 著書は『建築設計資料集成「福祉・医療」』(共著/丸善/2002年)、『ビジュアル版建築入門5 建築の言語』(共著/彰国社/2002年)ほか。


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