木憶の家 01
木憶の家 02
木憶の家 04
木憶の家 05
木憶の家 07

木憶の家 愛知県

桜に寄り添いながら暮らす、
やさしい住まい

CONCEPT

プランニングのほとんどをお任せくださったオーナーが、唯一、残したいとこだわったしだれ桜。
オーナーの祖父がここに居を構えた際植えられたもので、半世紀を超え家族や近隣の暮らしを見守ってきました。
プランは、そんな思い入れの強い桜を中心に考えました。建物の形、木との距離感、全体の間取り、リビングの家具の配置…。
それは、大開口で桜を見て楽しむのではなく、気配を感じ、桜にまつわるたくさんの記憶に包まれるような暮らし。
柔らかな光が満ちる落ち着いた部屋で、桜と、想い出と、家族の笑顔にやさしく包み込まれる毎日をめざしました。

CONCEPT 木憶の家

ご実家の敷地内に建てられた新居。もともとあった庭の石垣を活かしながら、建物も桜を中心にL字型に配し、桜との距離感を何度も検討して決定。桜と建物を合わせて一つの外観になるよう心がけました。

PLAN

落ちつきを重視した空間にいかに桜の気配を取り込むか—。
ここまで見事な桜ですので、桜とリビングとの一体感を演出した開放的なプランを提案したいところですが、リビングは家族とくつろぎいというオーナーのご意向を受け、あえて掃き出し窓の大開口ではなく、腰高窓の連窓をご提案。
鑑賞するという関係ではなく、室内にいながらもその見事な枝振りの下で過ごしているような、やすらぎにこだわりました。
家づくりの最初に決めたのは、リビングソファーの位置。
ソファーに腰を下ろし見上げると頭上に桜が覆いかぶさってくるように、木と建物の距離を計り、ソファーの置き場所を定め、インテリアをレイアウトしました。
ソファーに頭をゆだね見上げると美しい花が広がる。
あるいはふと気付くとクッションに影が揺れる。
桜に寄り添いながら暮らす、そんな空間づくりを追求しました。

PLAN 木憶の家

桜の正面の窓はFIX窓で、ピクチャーウィンドウとして桜を名画のように演出。さらに窓は、壁面を3cmふかし、サッシの枠が見えないよう配慮するなどディテールにもこだわっています。また、窓の下枠には無垢板を回すことで視覚的に美しいアクセントラインを設け、開口部に一体感を演出すると同時に、階段室につながる出口の高さも窓の上部のラインと揃えるなど、空間に緊張感を創出しています。

DESIGN

白い壁に反射する光は、直接光より柔らかく、壁を使って光を回すことで空間に優しさを創出できます。
どの部屋も落ち着きを重視し、外の視線に配慮しながらも十分な明るさを得るため、窓の大きさや数、位置と壁の活かし方にこだわりました。
たとえば人通りのある通路に面したキッチンでは、あえて目の高さに窓を設けず、吹き抜け&高窓により間接光が回り込むスタイルに。
プライバシーを確保しつつ伸びやかな快適さと明るさが得られるよう計算しています。

DESIGN 木憶の家 01

寝室は2階の東側ということもあり日当りは抜群ですが、落ち着きを第一に考えたことと、隣家の気配を消したかったことから、高窓に。遮るものがないため、採光的はこの高窓だけ十分で、朝日が白い壁に回り込み、部屋全体を優しく包みます。

DESIGN 木憶の家 02

寝室に隣接するオーナーの書斎。方角的には大きく開きたいところですが、仕事に集中したい書斎では落ち着き感も重要で、窓は最小限に留めました。大きさよりも位置を重視し、部屋全体の明るさとデスクに座った時に感じる視線の抜けのバランスにこだわりました。

FACADE

桜は大通りからも見え、自邸だけでなく近隣にとってもシンボリツリーになりうる存在感あふれる銘木。
それゆえ、エクステリアはデザインをミニマルなものにすることで、季節によって違う表情を見せる桜を 印象的に演出するキャンバスとなるよう計画しました。
さらにデザイン面だけでなく、雨樋が家の前面に出ないよう構造の中に配管を通し裏側に回したり、換気口を片流れの屋根の北側の壁に集めたりと、建物として必要なものも、無粋なものは可能な限り見せないようこだわりました。

FACADE 木憶の家 01

白い外壁に落ちる影も建物のデザインに。

FACADE 木憶の家 02

花の季節を過ぎても、鮮やかな緑が白い壁に映え、清々しい清涼感で通りを彩ります。

SPECIAL

朝の洗顔や洗濯といった家事は大切な時間。
それだけに、水まわりは広く明るくというのが設計士としてのこだわり。
南向きにプランニングできるなら積極的にスペースをとるよう設計しています。
オーナーご夫妻は共働きということもあり洗濯は時間が限られるため、気持ち良く動けて、かつ室内干しにも余裕のある、ゆとりのスペースを提案。
またLDKに掃き出し窓をつくらなかった代わりに、階段室と水まわりスペースに大開口を設け、桜に望めるようにしました。
リビングクローゼットを設ける代わりに水まわりスペースの奥に大きな収納ゾーンを設け、家族の衣類や日常的ないろいろな物を収納できるようにしています。

担当アーキテクト

木憶の家 担当アーキテクト

落ち着きを重視したい空間なら、窓と壁の反射を活かして柔らかに光を回す。あるいは家族みんなが伸びやかに使いたい水まわり等は、大開口や広さにこだわるなど、求められている空間を実現するために何が必要かをつねに考えるようにしています。また開口計画やディテールの使いやすさなど、ご提案には説明だけではわかりにくいものもありますが、エスコートハウスをご案内するなど、実際に体感していただくよう努めています。

物件データ

木憶の家 物件データ

家族構成/夫婦+子ども1人
所在地/愛知県

敷地面積/187.48㎡
延床面積/128.50㎡
取材年月/2017年4月

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