シャーウッドclub 木の家と、暮らしを愉しむwebサイト

シャーウッドクラブトップページへ シャーウッドブランドページへ

あの人が選ぶ 暮らしのお気に入り vol.009 2017.08.10 養老孟司さん / 解剖学者

PROFILE

養老 孟司
YOUROU TAKESHI
解剖学者

1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。
1962年、東京大学医学部を卒業し、解剖学教室に入る。1981年、同大学医学部教授に就任。1989年には著書「からだの見方」でサントリー学芸賞受賞。1995年に教授を退官し、同大学名誉教授に。
2003年、「バカの壁」が戦後屈指のベストセラーに。2005年、箱根の別荘が完成。近著に「京都の壁」(PHP研究所)、「超老人の壁」(共著・南伸坊/毎日新聞出版)などがある。

マル 題字 養老孟司

仕事に趣味に大忙しの養老孟司さんにとって、なくてはならない存在なのが、鎌倉の養老家にやって来て15年目になる猫(スコティッシュ・フォールド/オス)の“マル”。大きくて丸い体型、めったなことには動じないマイペースな性格、お昼寝中心ののんびりした暮らしぶり、足を投げ出した“どスコい座り”など、その愛すべきキャラクターは養老家のみなさんはもちろんのこと、多くの養老ファンからも愛されています。

マルお得意の「どスコい座り」。これはスコティッシュ・フォールドがよくする座り方で、一般的には「スコ座り」と呼ばれていますが、マルは貫禄のある体型なので“どスコい”なのです。

以前飼っていた猫が亡くなってしばらく経った頃、娘が奈良のブリーダーから譲り受けてきました。今は少し縮みましたが、当初は7.5kgもあってね。もちろん、名前は丸々とした体型からつけました。性格は穏やかですよ。猫って神経質なのが多いけれど、マルはおおよそ神経質じゃない。大らかというか、にぶいです(笑)。

マルの定位置は、玄関のすぐ脇にある日当たりのいい縁側。たいていここで寝ているので、外から帰るとまず最初にその姿を確認して、「マル!」と声をかけます。機嫌がいいときは「ニャ〜」と返事するし、悪いときは「わかったよ」って顔で僕をにらむ。マルが暇そうにごろごろしている様子がおもしろいので、基本的にはいつも眺めて楽しんでいます。マルはさわられるのがそれほど好きじゃないようだしね。でも、僕がパソコンで仕事をしていると、ときどき邪魔しにきます。膝に乗せてやると、マウスを持つ僕の右腕に頭を乗せるんだよ。そうなると重たいから手が動かせない。ようするに「動くな」「かまってくれ」ということ。こうなるとしょうがない。仕事は終わりです(笑)。

犬は社会性動物ですから、ペットの犬は家族同様ですよね。その点、猫はちょっと違うんだ。子どもの間は複数で暮らしているけれど、おとなになると独居性が強くなって1匹で生きていきます。ほかのネコ科の動物もおんなじ。ライオンだけは社会性があるから群れを作って暮らすけれど、それ以外はトラもヒョウもみんな独居性です。……とはいっても、我々人間と猫はこうやってうまく付き合っている。おそらく人間は、猫の“親に甘える子ども時代”を長引かせてきたんだと思います。作為的にきっちり選別してきたというわけではなく、独居性の強い猫は勝手に出ていってしまい、いつまでも親代わりの人間に甘えている猫が自然と残った、といったところじゃないかな。

日頃から「勤労意欲を阻害する」とか「仕事の邪魔」なんて言っていますけれど、マルを見ていると本当になごむし、気持ちが落ち着きます。ここ(箱根の別荘)には連れてこないことにしているんだけど(※)、ふとした拍子に「あれ?! そういえばマルがいないなぁ」なんて、思うことがけっこうありますよ。

※箱根の別荘「養老昆虫館」にマルを連れていかない理由……部屋の配置の関係上、養老さんが研究室で昆虫研究に没頭してしまうと、茶室の柱などで爪とぎをしないようにマルを監視することができないからだそうです。

マルの写真集

  • 「まる文庫」
    大人気の猫写真家・関由香さんによるマルの日常フォトを100点以上掲載した、文庫サイズの写真集。巻末には養老さんの猫エッセイ6篇も収録されています。豊かな緑に囲まれた養老家で、マイペースに暮らすマルの姿は癒やし効果抜群。ときおり写真に写り込む養老さんの、マルを見つめる優しいまなざしも素敵です。
    ※単行本「そこのまる(ランダムハウス講談社/2010年)」に、撮り下ろしの写真を加えて再構成した文庫オリジナル。

    有限会社養老研究所/著、関由香/写真
    講談社文庫
    価格:838円(税別)

続きはシャーウッドclubでお楽しみください