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HOME > 住まいづくり情報 > 住まいのコラム > Vol.14 書斎 〜男の城、女の城の設計〜

住まいのコラム

ひげおっちゃんの住まい雑記帳 バックナンバー

Vol.14

書斎 〜男の城、女の城の設計〜

昨年度の当社の建築事例を分析して見ると意外に多くの人が書斎を作られていることがわかりました。情報社会の中にあって知的エネルギー充電への意欲の表れなのでしょうか、それとも危機感の表れとみるべきなのでしょうか。

最初に書斎がヨーロッパに登場したのは15世紀頃のイギリスで、貴族階級の男の孤独を獲得するための空間として形づくられたそうです。日本では室町時代中期(15世紀初頭)に書院造へ発展する寺院建築の中に登場してきます。元は男の特権空間であった書斎でしたが、現在では読書や勉強、書き物をする部屋として作られ、家の中の「男の孤独の城」や「女の孤独の城」といった、一種の「逃避空間」にもなっています。 そんな書斎とはどんな部屋なのかを、あらためて考えてみました。
読書や勉強、書き物をする部屋ということは「知の空間」ということですね。これは本だけではない、知的情報に包まれた空間をつくるということ。自分にとって大切な知的情報とは何かから考え始めることが大事なのです。

書斎

一方で孤独を得るための空間であるとも云えます。つまり単なる本を読んだり、勉強したりするだけの空間ではなく、独りの時を楽しめるように安堵感を演出する雰囲気づくりがとても大切になります。人によってインテリアへの感性は異なりますから、自分流のインテリアを創り出すことが求められています。知に囲まれてひそかに物事にふける空間、小宇宙がまさに書斎なのです。

次に具体的なカタチですが、個室タイプとコーナータイプに大きく分けられます。しかし、専用空間を作るだけのスペースが取れないからコーナー使いでよいという考え方は禁物です。逆に読書に集中するために個室化してしまってよいかというと、そうでもありません。家族の気配がちょっと感じられて、「ちょっと静かにしてくれないかな」と言える感覚を大事にしている人が、意外に多いのです。独りになりたい、でも家族が何をしているのかも気になる。この感覚は個人差があるので、書斎を使われる人の性格や家族とのふれあいのあり方を考えて書斎の位置やカタチを決めることが大切だということになります。

和室の一角に設けた書斎コーナー

最後に、自分にとっての書斎のカタチを見つけられないままに安易に書斎を作ってしまうと、2〜3年後には使い勝手の悪いただの物置となってしまいます。くれぐれもご注意を!


プロフィール
渡辺 幸次(わたなべ こうじ)

1947年12月千葉県生まれ。千葉大学工業短期大学部工業意匠科卒。 専門はプロダクトデザイン。積水ハウスではアパートの部材設計をスタートに主に団地計画や住宅の内装部材、設備などの開発に従事してきた。その間に海外向け住宅や寒冷地住宅などの開発も手がけている。納得工房には企画段階から参加して現在に至っている。モットーは住まい手と共につくる住まいづくり。