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住まいのコラム

ひげおっちゃんの住まい雑記帳 バックナンバー

Vol.12

リビング〜心地のよさを設計する〜

居心地をよくするにはお互いの距離と視線の高さがとても大切になります。納得工房のオープン当時、館内には、昭和20年代のアメリカで大人気だった新聞漫画「ブロンディ」からブロンディ夫婦がリビングで自分の椅子に坐ってくつろいでいる様子を描いた一コマを展示していました。
ブロンディ夫妻のだんらん というのも、リビングに椅子を二つ配置する場合、お互いの椅子を横に並べるか対面させますね。ところがこの漫画の椅子は寄り添うようにして直角に配置され、振り向いて会話をしていたのです。この椅子の配置にくつろぐための配慮がよく描かれていると思いました。互いに気配を感じつつ気まずさを感じさせない工夫をすることで心からくつろげるということなのです。この気まずさを感じるエリアを専門的にはパーソナルスペース(個人空間)といいます。パーソナルスペースは人によって違うことや視線の高さ、お互いの位置関係も関係することが知られています。

視線が高くなるほどパーソナルスペースの距離は長くなり、椅子座居では2.5〜3m、座 居では1.5mぐらいといわれています。そして、お互いの位置関係が正面より斜めの方が、前方より後方になるほど親近感がでるといいます。座居が基本の和室では人と人の距離が近いほど心地よいと感じ、椅子座が中心の洋室空間ではある程度離れた方が心地よいと感じる傾向があります。部屋が狭くてお互いの距離が取れない場合は視線を低くしたり、お互いの向きをずらすことで心地よさは改善できるというわけです。
その一例が茶室で、狭い茶室では床座で視線を低くし、主人と客人が正面に坐ることはなく、必ず視線をそらせるように坐るなどの不快感がでない工夫を凝らしています。

お互いの距離

次に最近、多く見られる和室と洋室が連続する場合の工夫について考えてみましょう。工夫の一つは、和室は小さくし、洋室は大きくして空間としてバランスを考えること。二つ目は洋室の椅子を低くしたり、和室の床を上げたりして視線の高さを近づける工夫です。三つ目としてインテリアを統一して違和感をなくすなどといったことが考えられます。
居心地のよいリビングにするためには、みんなで団欒を楽しむ場、テレビを見る場、庭を見る場、読書をする場などといった様々な生活行為に合わせて椅子やテーブルの配置を考えることが大切なのです。家族ひとり一人にパーソナルスペースがあることを頭の片隅においてわが家ならではの居心地のよいリビングを作り上げてみてください。

※メモ
『ブロンディ』はアメリカの中流家庭の主婦ブロンディを主人公にした4コママンガで1930年に登場した。作者はチック・ヤング。日本では終戦後の1946年に「週刊朝日」が連載を始め、その後に朝日新聞朝刊の連載マンガとして1947年1月から1951年4月まで登場。尚、その後を受けて掲載されたのが1946年に福岡の「夕刊フクオカ」に登場し、1949年から朝日新聞夕刊に掲載されていた『サザエさん』である。


プロフィール
渡辺 幸次(わたなべ こうじ)

1947年12月千葉県生まれ。千葉大学工業短期大学部工業意匠科卒。 専門はプロダクトデザイン。積水ハウスではアパートの部材設計をスタートに主に団地計画や住宅の内装部材、設備などの開発に従事してきた。その間に海外向け住宅や寒冷地住宅などの開発も手がけている。納得工房には企画段階から参加して現在に至っている。モットーは住まい手と共につくる住まいづくり。