「やってみればよかった」
そんな後悔だけはしてほしくない。
―「やりたいことは、とにかくチャレンジ」とは、力強い言葉ですね。
やりたいけど、無理かもしれない。そういうときは、どなたでも迷って、及び腰になりますよね。ですが、たとえ無理だと思っても、やってみることに意義があると思うんです。もしかしたら実現できるかもしれませんし、やらずに「やっぱりチャレンジしてみればよかった」と後悔するよりいい。何より、自分自身が納得できます。
ですから、後悔することのないようオーナー様との打ち合わせをとくに大切にして、「やりたいこと」をなるべく引き出すように努めています。

設計を担当した物件の完成予想図

間取り図。左から1階、2階、3階
自分の仕事で社会貢献ができる。
強く、そう感じた。
―設計する際、心がけていることはありますか?
社会やお客様に貢献できるように、ということは常に考えています。
私はこれまで、自分は社会に対して何ができるだろうと、いつも問いかけていました。世の中には社会問題や環境問題が山積みですが、その中で生きている私は、自分の仕事である建築を通じて社会貢献ができないだろうか。そういう気持ちがありました。
―建築で社会貢献というと、バリアフリーなどが浮かびますが。
そうですね。以前、大規模施設を多く扱う組織設計事務所に勤めていたんですが、そこでのオフィス設計でワークプレイスのユニバーサルデザインを手がけたことがありました。その結果、交通事故で障がい者となった方が、3年振りに社会復帰されたんです。
これをきっかけに、有識者の方々とユニバーサルデザイン研究会を立ち上げ、3年間、研究活動を行いました。このとき私は、「私の仕事で社会貢献ができる」そう強く感じ、感銘を覚えました。そして、この気持ちを今度は住宅設計で感じたいと思ったんです。
といっても、バリアフリーやユニバーサルデザインに限定するわけではありませんよ。お客様の数だけご要望がありますからね。それぞれのお客様の立場で、ご要望をしっかりと受け止めた住宅設計をしていきたいです。
オーナー様との共同作業で
一緒につくり上げる。
―打ち合わせは、どのように行っているのですか?
一言でいえば、共同作業です。
多くの場合、まずはオーナー様のイメージを設計という形にしてご提案します。そこから「こういうことがしたい」「ああいう方法はいかがですか」といった風に案をこねていく。オーナー様のご要望と私のご提案、両方をすり合わせながら、お互いに知恵を絞って一緒につくり上げていきます。
―まさに共同作業ですね。
「一緒につくり上げる」という時間やプロセスを大切にして、共同作業を繰り返していく。これが、私の大きな務めの一つだと思います。
もちろん、私自身が美しいプランやデザインを考えることも大切ではあります。ですが、同時にそれについて、オーナー様と切磋琢磨する時間を大切にしていきたい。そうすることで、世界に一つしかない、素晴らしい生活が送れる賃貸住宅が生まれれば、オーナー様も入居者様も、満足できるのではないでしょうか。
私は、ずっとお客様のそばにいたいんです。組織設計事務所では難しかったこの思いも、ヒューマンスケールでお客様により身近な住宅設計が叶えられる。そう思っています。

同物件の鳥かん図。V型コートで日光量を確保

リビングの一角にはモダンな畳のスペースを

勾配屋根の隠れ家的な空間





