私は子供の頃から住宅に興味を抱いてまして、特に日々新聞に折り込まれてくるチラシを見ては「この家でどんな家族が暮らすのだろう、どんな会話が聞こえてくるのだろう」と勝手に想像を膨らましたり、自分だったらベッドの位置はここで机がここでと遊んでいました。そんな私だから、自然と設計士を目指していましたが、最終的に決め手となったのは両親を自分が設計した家に住まわせたいと思ったからです。
施主様とお打ち合わせをしていても、家族のこだわりや主張について大いに盛り上がることがあります。それで私も次から次へと提案し、施主様もどんどんご要望をお話しされ、その情熱で設計するものですから、ある厳しい職人さんからは「梶原の図面表現はまだまだだけど、思いが伝わるんだよな!」と言われます。けなされているのか褒められているのか分からない表現ですけど、私は素直にうれしく思います。図面表現は経験を重ねれば何とかなるだろうけど、思いが伝わる図面が書けるかどうかは経験でなく、いい住宅をつくりたいという強い気持ちだと思いますから。
そんな強い気持ちが実を結んだことがありました。それは今までで最もうれしかったことなんですが、ある時期に建売住宅を設計することとなりました。例のごとく、私は家族の暖かさを想い、間取りはもちろん目に見えない所まで配慮して設計することに。その建売住宅は好評で、私もがんばった甲斐があったなと思っていると数年後なんと「あの建売住宅を設計した方に依頼したい」と指名をいただくことができたのです。本当に感動しました。ひとつの仕事を全力でがんばると、施主様が喜ばれるだけでなく、自分も感動できることを知ることとなった出来事です。
目標の設計士は?と聞かれるといつも「強い設計士になりたい」と答えています。いい住宅をつくりたいという強い気持ちもそうですが、設備に強く、空間構成に強く、金額に強く、地域の生活に強く…。そんな家族の暮らしにまつわることすべてに強くなって、設計だけでなくトータルバランスに優れた「暮らしのプロ」になりたい。そのためにはまず、一軒一軒の仕事に全力で取り組むことが最優先と考えています。