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茶の湯をたしなまれていた施主は、住宅の移転をきっかけに、ご自分だけの茶室を持つという大きな夢の実現を考えていらっしゃいました。「生涯楽しめる茶室を、積水ハウスは設計できるのか」、そんなご相談からお打ち合わせが始まりました。
本格的な茶室を設計するためには、「わびさび」の精神からその歴史まで、たくさんのことを学ぶ必要がありました。茶道には流派ごとに様々な作法があるように、その建築にもたくさんの習わしがあります。間取り、寸法、素材選び、素材合わせ…。それらを忠実に守りながらも、積水ハウスらしい提案やアイデアを盛り込むことが、設計士としての私の役割でした。腰壁の壁紙には、国の無形文化財に指定され、かの徳川光圀が編纂した「大日本史」にも使われたとされる地場の銘品「西ノ内和紙」を。躙口(にじりぐち/茶室の小さな出入口)の木製引戸は、雨仕舞を考えてペアガラスとの二重戸に。躙口戸や水屋、腰掛待合(こしかけまちあい/茶室の露地に設ける休憩所)、蹲踞(つくばい/茶庭に設置される手水鉢)などは、京都に実際に存在する茶室を参考に設計しました。わずか八帖ほどの空間ではありますが、細部にまで、ていねいに心を込めた造りになっています。私の設計人生の中でも大変勉強させていただいた一邸であります。
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