たとえば、赤ちゃんが初めてハイハイした日。つかまり立ちをした日。住まいは家族の大切な思い出や感動をしっかりと刻み込み、“わが家”としての存在感を日ごとに深めていきます。私がご提供したいのは、ご家族とともに暮らし、ともに成長する住まいです。そのために、ご家族の生活スタイルや習慣などについて幅広くお伺いし、その個性や趣味、人生観などをよりポジティヴに進展させる空間づくりを心がけています。新しい暮らし・新しい毎日と言っても、今の暮らしを180度転換させるのではありません。これまで大切に育まれてきた家族の歴史や慣れ親しんだ住まいの雰囲気を尊重し、ご家族のための住まいを設計します。
ありがたいことに、完成した物件を引き渡してからも、お客様からお電話やお手紙をいただく機会が多く、大変うれしく思っております。先日、かつて設計を担当させていただいたご家族にお会いする事がありました。このご家族は、私が提案したプランとその設計図に込めた思いに共感してくださっており、息子さんの就職や結婚、出産など、事あるごとにご自宅にお招きいただいています。当時は高校生だった彼も、この家で暮らし、学び、成長していく中で立派な父親の顔になりました。私は自分が設計した住まいで、ご家族が幸せに暮らしていらっしゃるのを間近に感じる事ができ、非常にうれしく思います。それは、住まいと暮らしの距離感や個性を重視した私の家づくりが、暮らしの豊かさにつながっている事を直に確かめられるのですから。
私がこのようにご家族の暮らしを中心とした設計を大切にしている理由は、目標としている建築士フランク・ロイド・ライトの影響が強いと思います。彼は終生一貫して「有機的建築」の理想を追い求めたと言われています。それは、空間がそれを取り巻く全ての要素と有機的に結びついて設計された、より豊かな人間性の保証に寄与した建築です。少々難しい話になってしまいましたが、要するに、周辺環境などの外的要素も心地よく豊かに暮らすための住まいの一部として設計に活かす「自然と建築の共存」の考え方であり、利便性や効率性だけが暮らしやすさなのか、という社会への問いかけです。多忙な現代社会に生きる私たちにとって、確かに利便性や効率性は欠かせない要素ではあります。しかし、私は家族と共に暮らす住まいには何が一番必要で大切なのかを、お客様と一緒に考えたいと思います。
小学校の頃から図画工作の時間が大好きでした。でも、好きだった割に飛び抜けて器用な方ではなかったので、最初は何を作るにもやり直していた気がします。そんなことからか、いつの間にかどんな小さな仕事に対しても、正直に、丁寧に取り組むようになりました。それは、単純にご家族のご要望の表面だけを受け取るのではなく、本質的な暮らしやすさに正直で、丁寧という事です。私は、ご家族の人生をいきいきと豊かにする設計を目指し、何十年先でも“お気に入りのわが家”と思っていただける住まいをご提案します。